本書は、情報処理的な観点から心と社会の接点を研究する“社会的認知”というアプローチが、社会心理学のなかにどのように組み込まれ、どのような成果を上げているのかを解説した書である。 取り上げた研究領域は、個人内の心理的諸問題から個人間ないしは集団間の諸問題を扱う領域、臨床的・応用的諸問題を扱う領域、神経心理学・文化心理学・進化心理学などにまで及んでおり、そのなかで蓄積された知見を紹介するとともに、最新の論争についても焦点をあてている。さらに、このアプローチが前提としているであろう人間観や社会観に関しても浮き彫りにしようとする。 心理学、特に社会心理学を学ぶ学生・院生・研究者にとってたいへん示唆に富んだ書である。 [主要目次] 1章 社会的認知研究の伝統とメタファ 2章 社会的判断・社会的推論 3章 社会的認知と印象形成-自動性と統制可能性 4章 社会的認知と自己 5章 社会的認知と感情、行動、動機づけ 6章 ステレオタイプと偏見 7章 社会的認知と意思決定 8章 社会的認知と言語 9章 対人的影響と認知 10章 社会的認知と個人差 11章 社会的認知と精神的不適応 12章 社会的認知の神経基盤 13章 社会的認知と文化 14章 社会的認知と進化心理学 引用文献 索引 |