本書は、近年心理臨床や介護・福祉の場で注目を集めているアニマル・セラピーについて詳説した初の専門的解説書である。背景となる理論や研究を概観し、さまざまな現場における実践例を数多く紹介するとともに、こうした治療的側面に加え子どもの発達との関わりやペット・ロスといった動物の飼育に関する心理的な問題もとりあげ、人にとって動物とのきずなが持つ意味を考察する。 心身のケアに携わる臨床家や医師、それらを志す学生にとって、介護や治療にアニマル・セラピーを導入する重要性を明らかにし、さらなる今後の研究の方向性を示す待望の書である。 [主要目次] 第1部 アニマル・セラピーの理論 1章 アニマル・セラピーの歴史 2章 アニマル・セラピーの理論と研究法 3章 アニマル・セラピーに用いる動物の選択 第2部 アニマル・セラピーの実際 4章 身体障害者と動物介在療法 5章 うつ病性障害へのアニマル・セラピーの効果 6章 精神科病棟におけるアニマル・セラピー 7章 アルツハイマー型老年痴呆への動物介在活動の効果 8章 ターミナルケアにおける動物介在活動 9章 高齢者福祉施設の居住者と動物介在活動 10章 性的虐待と動物介在療法 11章 刑務所における動物介在療法 第3部 動物の飼育をめぐる諸問題 12章 子どもの発達と動物の存在 13章 動物の飼育と「ペット・ロス(喪失)症候群」 |