線形破壊力学は、亀裂をもつ部材や構造物の強度と、亀裂の成長挙動、さらに破壊に至る過程を、線形弾性論から得られた結果を基礎として、定量的に取り扱う学問分野である。 本書は、この定量化の手法として重要な、応力拡大係数とエネルギ解放率についてわかりやすく説いたものである。すなわち、これらによる、亀裂先端付近の応力・ひずみおよび変位の分布と、亀裂の成長に伴うエネルギ変化の数値的な取扱いを述べ、その応用として弾性体、小規模降伏、不静定構造物への適用の手法を示す。最後に、種々の破壊現象への線形破壊力学の応用例を挙げて、その工学的有用性を示す。なお、巻末に弾性論の入門的な解説を付した。 [主要目次] 1、序論 2、亀裂先端付近の弾性変形状態 3、応力拡大係数に関する基本事項 4、エネルギと変形 5、亀裂先端における小規模降伏 6、変形と不静定問題 7、線形破壊力学の工学的応用 付録 2次元亀裂の弾性論入門 |