確率は多くの応用面をもつが,とくに統計学の根本的な理解と厳密な応用のためには欠くべからざる役割をはたしている。確率をこのような面に留意して理解するためには,問題解法の演習を通じて,理論的把握を確実にしながら実際的な運用に習熟することが,最も効果的ではなかろうか。 本書はこのような考えから生まれた自習用の参考書である。とくに比較的基礎的な問題で十分な演習を行なって確率的な考え方と手法がよく体得できるようにしたこと,確率の応用面たとえばマルコフ連鎖などはできるだけ基本的な手法に還元して問題数も豊富にしたこと,等は本書のすぐれた特色であり,読者は確率の極限定理を含むかなり高度の問題まで自力で解けるようになるであろう。 〔主要目次〕 1.事象と確率 2.確率変数と分布 3.平均値,分散 4.変数変換と和の分布 5.積率と積率母関数 6.大数の法則と中心極限定理 7.大数の強法則 付録. 中心極限定理の別証明 |