『複素力学系序説』 内容紹介文
フラクタル集合の代表的な発生装置のひとつである複素力学系を理論面から包括的に取り扱った,世界でも類を見ない解説書である。
まず,多項式の反復合成により得られるさまざまな現象を紹介し,マンデルブロート集合などの独自のテーマについても触れる。
次に,ジュリア集合とファトゥ集合の一般論を解説した後,整関数と有理関数各々の反復合成における基本理論を精説する。また,近年急速に注目を集めつつある,サリヴァンの辞書やエノン写像の反復合成による力学系の理論についても,それらの基本的部分を解説する。さらに高度なテーマに触れた補足もあり,複素力学系の世界への絶好の案内書である。
〔主要目次〕 
1.多項式から生じるフラクタル 
2.ファトゥ集合とジュリア集合 
3.超越整関数の反復合成 
4.有理関数の反復合成 
5.クライン群とサリヴァンの辞書 
6.多変数正則写像の力学系 
7.一般エノン写像の複素力学系