本書は,1970年代後半にサーストンにより予想された3次元閉多様体の幾何化が,ハミルトンとペレルマンによっていかに解決されたのか,解決に至るその議論の全容を紹介した書である。リッチフローの基礎理論からはじめて,エントロピー,簡約体積関数とその応用について述べる PartⅠと,予想がいかに解決されるかについて述べる解決編 PartⅡから構成されている。初めて学ぶ読者を対象に,豊富な概念図とともに,懇切丁寧に解説する。 〔主要目次〕 記法・公式・定理のまとめ 0.オーバービュー PartⅠ リッチフローの基礎理論・エントロピー・簡約体積関数とその応用 1.リッチフローの基礎事項 2.テンソルに対する最大値原理と3次元リッチフローのピンチング 3.リッチフローの曲率の局所勾配評価とリッチフローの列の幾何収束 4.リッチフローの勾配流解釈とその応用 5.リーマン幾何的熱浴.幾何.ハルナック不等式 6.伝播型非局所崩壊定理.微分形の単調性公式.擬局所性定理 7.κ解―非負曲率作用素をもちκ非崩壊な古代解 8.3次元κ解 9.3次元リッチフローの標準近傍定理 PartⅡ 幾何化予想の解決 10.いろいろな定義・記号 11.3次元κ解の分類 12.3の標準解 13.最初の特異時刻におけるリッチフロー解の構造 14.カットオフつきリッチフロー 15.カットオフつきリッチフローにおけるピンチング条件と標準近傍定理 16.カットオフつきリッチフローの長時間における振舞い(I) 17.カットオフつきリッチフローの長時間における振舞い(II) 18.カットオフつきリッチフローにおける-4△+R の第1固有値 参考文献
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