本書は,集合論の基礎と,「無限」の不思議さについてまとめられた書である。前半で,数学の様々な分野/場面で用いられる「集合」「写像」の基本的な考え方・扱い方について解説したうえで,後半では,有限集合から得られる我々の直観・常識に反する無限集合に関する不思議な現象をまず紹介し,さらにこの不思議さを追求した過程で得られた,現代数学の根幹をなす原理である「選択公理」や「ツォルンの補題」について言及する。 〔主要目次〕 第Ⅰ部 集合と写像 1.集合 2.集合の演算 3.写像 4.ラッセルのパラドックスと集合論 第Ⅱ部 無限集合の大きさを比べる 5.同値関係 6.濃度:有限集合の個数の概念の無限集合への拡張 7.濃度の大小に関するいくつかの性質 8.濃度の和,積,羃 第Ⅲ部 選択公理と濃度の比較可能定理 9.整列集合 10.ツォルンの補題 11.選択公理,ツォルンの補題と整列可能定理 12.濃度の和,積,羃に関する公式 付録 A.カントールと集合論の誕生 B.連続体仮説 C.選択公理とバナッハ-タルスキーのパラドックス D.バナッハ-タルスキーのパラドックスの証明 問題解答
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