新しい構想に基づいてまとめられた現代的な熱力学のテキスト・参考書である。熱力学を,できるだけ見通しよく,より論理的に理解できるよう,従来ある体系の立て方とは異なる方法で解説している。すなわち,仕事を主役にした操作的な視点から熱力学の全体を見るとの行き方をとり,等温での操作(第二法則)と断熱下での操作(第一法則)をそれぞれ議論した後,両者を同時にとらえる枠組みを探ることで,一気に熱力学の全体像を構築する,という意欲的なまとめ方である。半期の議義には本書の前半部分を利用することで熱力学の構造とひと通りの応用を学ぶことができるよう,構成されている。 〔主要目次〕 1.熱力学とは何か 2.平衡状態の記述 3.等温操作とHelmholtzの自由エネルギー 4.断熱操作とエネルギー 5.熱とCarnotの定理 6.エントロピー 7.Helmholtzの自由エネルギーと変分原理 8.Gibbsの自由エネルギー 9.多成分系の熱力学 10.強磁性体の熱力学 付録(完全な熱力学関数のまとめ,凸関数,Legendre変換) 演習問題解答
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