本書(下巻)は,上巻で扱われなかった21目の有翅昆虫類の胚発生について精述する。これにより,昆虫の全目の正常発生を網羅することになる。各章は,当該の分類群の発生について世界的に認められた業績を有する研究者によって執筆され,特に,カマアシムシ目など,これまで発生学的知見が全くないか,または極めて乏しい昆虫類に関する胚発生の総説は世界にも類例がなく,本書の大きな特徴となっている。もう一つの特徴は,全昆虫目の発生過程の精述に加えて,発生と系統との関係,すなわち比較発生学的観点からの解説が随所でなされていることである。これにより,各目の発生過程に認められる発生上の特徴に関する進化学的洞察が可能になる。さらに,第3部1章では,各章で記載された発生上の特徴を再度取り上げ,目などの上位分類群の系統関係を総合的に論じるとともに,発生学の観点から昆虫の系統関係を提唱している。 (主要目次) 第2部 昆虫発生学各論 13 章 ナナフシ目 14 章 シロアリモドキ目 15 章 ゴキブリ目 16 章 カマキリ目 17 章 シロアリ目 18 章 ガロアムシ目 19 章 カカトアルキ目 20 章 ハサミムシ目 21 章 ジュズヒゲムシ目 22 章 チャタテムシ目 23 章 シラミ目 24 章 半翅目 25 章 アザミウマ目 26 章 アミメカゲロウ目 27 章 ヘビトンボ目 28 章 ラクダムシ目 29 章 甲虫目(鞘翅目) 30 章 ネジレバネ目 31 章 ハエ目 32 章 ノミ目 33 章 ハチ目 34 章 カマアシムシ目(補遺) 35 章 コムシ目(補遺) 第3部 胚発生と系統・昆虫発生学略史・研究法 1 章 胚発生と昆虫の系統 2 章 昆虫発生学略史 3 章 研 究 法
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